８回２死から登板。最速１５９キロの直球などで山田を追い込み、最後はスライダーで空振り三振。「シーズンの最後になればなるほど僕の球は速くなる。ＣＳに向けてしっかりと準備したい」

　もうクライマックスシリーズへの戦いが始まっていた。マシソンが山田を空振り三振に仕留めた８回の場面。２死を取った山口からスイッチし、あえて剛球助っ人を本塁打王にぶつけた。結果はカウント１ボール２ストライクから変化球で空振り三振。本来なら休ませてもいいマシソンを投入した意義は、この三振にあると思う。
　ＣＳでの再戦をにらむ巨人としては、山田に気持ちよくシーズンを終わってもらうわけにはいかないからだ。ましてや第３打席では２ランを献上した。打者にとって本塁打のいいイメージで終わるか、三振のイメージで終わるかは雲泥の差。１４日のＣＳ最終ステージ初戦で山田が打席に立ったとき、この残像が残っていればしめたものだ。
　短期決戦では、キーマンを徹底的に封じ込めることがシーズンよりはるかに重要になる。山田はトリプル３だけでなく、１００打点を稼ぐ強打者。今回はその山田封じの布石を打った形だ。その点で、この日の最終戦は消化試合以上の意味を持つことになるかもしれない。

　巨人のスコット・マシソン投手（３１）、山口鉄也投手（３１）が９日、ＣＳで汚名返上の「フル回転」を誓った。今季は２人で合計１３敗を喫して苦しんだが、終盤はともに復調。両投手はシーズン中、３日連続の登板が一度もなかったが、首脳陣は短期決戦のＣＳでは制限を設けず投入していく方針だ。
　万全の状態で決戦に臨む。東京Ｄで行われた前日練習。左右のセットアッパーは、強い覚悟を胸にダッシュを繰り返した。マシソンが「２試合で決めてヤクルトに挑みたい。全部勝って日本一になりたい。もちろん全試合、投げるつもりだ」と話せば、「言われたところで抑えられるように頑張ります」と山口。２人の表情は自信に満ちあふれていた。
　確かな手応えがある。今季は、ともにシーズン序盤から苦戦し、マシソンが８敗、山口が５敗。いずれも自己最悪で計１３敗を喫した。それでも、終盤はマシソンが８試合連続無失点、山口が９試合連続無失点でフィニッシュ。マシソンが「状態はいい」、山口が「少しずつではありますが状態が上がっている」と話すように、本来の力強さ、安定感が戻ってきた。

　今季、ともに連投は２日間、試合数で４試合が最長だった。首脳陣は蓄積疲労も考慮し、大事に起用してきた。だが、短期決戦では制限を解除。勝てる試合を確実にとるため、惜しみなくつぎ込む方針だ。また同点や多少のビハインドでも登板する可能性があり、２人も連投する覚悟だ。
　両投手は、６日からの東京Ｄでの練習で、体のキレを出すため連日、走り込みを行った。第１Ｓは３戦で２勝、最終Ｓは６戦で４勝が必要。マシソンが「時間を有効に使ってしっかり準備ができた。自分は毎日でも投げたい」と言うように、日本シリーズ進出のためなら“９連投”も歓迎だ。昨年、阪神とのＣＳ最終Ｓ第３戦でゴメスに決勝２点打を打たれ敗戦投手となった山口は「ペナントの分もチームの勝利につながる投球をしたい」。汚名返上に燃える「マシヤマ」のフル回転で、逆転日本一を引き寄せる。

　２点ビハインドの９回１死二塁、今ＣＳで初登板。ゴメスの左前打などで１死満塁とされたが、後続を断った。「自信を持って、自分らしい投球はできた」

　４―１の７回から登板したが、先頭・大引に右前打、続く中村に四球を与えて山口にスイッチ。「状態はすごくいい」と話していたが、わずか１２球で降板した。

　巨人のスコット・マシソン投手（３１）が１９日、４年目のシーズンを終え、成田空港から米国へ帰国した。今季で２年契約が満了。残留を基本線としながら、メジャー球団を含めて来季の所属先を探していくことを明かした。
　今季は６３登板で３勝８敗。防御率は２・６２だった。すでに代理人が巨人と交渉を始めているが「もちろん日本、巨人に戻ってきたい思いは強い。でも、米国の球団も興味を持っているところもあるだろうから自分に合った選択をしたい」とメジャー復帰も視野に入れていることを示唆。「僕は巨人でキャリアを終えたいと思っているし、妻に米国でプレーする可能性もあると話をしたら悲しい表情だった。急いで決める必要はない」とも話しており、気持ちは残留に傾いているようだ。
　４年間ずっと指揮官だった原監督が退任。一番の思い出は、昨年４月１６日のヤクルト戦（神宮）、本塁打を浴びたバレンティンにガッツポーズされ激高し乱闘騒ぎになった時のこと。試合後、監督室に呼ばれると、それまでのセットアッパーからクローザー起用を通達された。「結果が出ず２軍落ちを想定していたからうれしかった」。来日最多の３０セーブにつなげた。

　「とてもお世話になり、自信を持って僕を使ってくれた方」と指揮官に感謝。「いなくなるのは本当にさみしい」と別れを惜しんだ。

　巨人は１８日、スコット・マシソン投手（３１）と来季も契約を結ぶことで合意したと発表した。マシソンは球団広報を通して「来季もジャイアンツでプレーできることを心から幸せに感じます。高橋由伸新監督を胴上げできるように、優勝を目指して全力を尽くしたいと思います」とコメントした。
　来日４年目の今季は６３試合で３勝８敗２セーブ、防御率２・６２。不振に苦しむ時期もあったが、３年連続６０試合登板をクリアしてブルペンを支えた。
　日本での通算成績は２３０登板、１３勝１６敗４２セーブ、防御率２・３０、２２６回２／３で２５５奪三振。来季も山口、沢村とともに「勝利の方程式」の一角として大きな期待がかかる。

>>31
で？結論はどした？