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白鳩の部屋(白・ω・鳩)-4
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白鳩会
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加えて、もうひとつの公電には―
「岸氏は日本人記者団と会見し “佐藤首相は沖縄返還協定批准のあと引退すべきである” と語った」と書かれていた。
これが佐藤の不興を爆発させたのであった。
「……おれの進退について、いかに兄貴とはいえ勝手なことをしゃべり散らされては、飛んだ迷惑だ」
傍に竹下官房長官がいるのもかまわずに、佐藤はそういった。
すでに臨時国会がはじまっている。沖縄返還協定の批准が目的である。そこでこの国会は『沖縄国会』と呼ばれている。
― 野党がどんな抵抗をしようと、批准は成立させなければならない。
当初から佐藤はかたく決意していた。と同時に
― 批准さえ成立すれば、あとは来年7月1日……予定を早めても6月なかば、現実に沖縄が返還されるまで政局はたいしたことはない。沖縄祖国復帰の記念行事を、自分は総理大臣として主宰する……。
そう決めこんでいるのだ。
― それを岸は、この沖縄国会を最後に引退せよなどと、けしからんことをいう。おれは来年の6、7月までは絶対にやめはしない。
佐藤は、むっとした表情のまま、立ち上がった。
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加えて、もうひとつの公電には―
「岸氏は日本人記者団と会見し “佐藤首相は沖縄返還協定批准のあと引退すべきである” と語った」と書かれていた。
これが佐藤の不興を爆発させたのであった。
「……おれの進退について、いかに兄貴とはいえ勝手なことをしゃべり散らされては、飛んだ迷惑だ」
傍に竹下官房長官がいるのもかまわずに、佐藤はそういった。
すでに臨時国会がはじまっている。沖縄返還協定の批准が目的である。そこでこの国会は『沖縄国会』と呼ばれている。
― 野党がどんな抵抗をしようと、批准は成立させなければならない。
当初から佐藤はかたく決意していた。と同時に
― 批准さえ成立すれば、あとは来年7月1日……予定を早めても6月なかば、現実に沖縄が返還されるまで政局はたいしたことはない。沖縄祖国復帰の記念行事を、自分は総理大臣として主宰する……。
そう決めこんでいるのだ。
― それを岸は、この沖縄国会を最後に引退せよなどと、けしからんことをいう。おれは来年の6、7月までは絶対にやめはしない。
佐藤は、むっとした表情のまま、立ち上がった。
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加えて、もうひとつの公電には―
「岸氏は日本人記者団と会見し “佐藤首相は沖縄返還協定批准のあと引退すべきである” と語った」と書かれていた。
これが佐藤の不興を爆発させたのであった。
「……おれの進退について、いかに兄貴とはいえ勝手なことをしゃべり散らされては、飛んだ迷惑だ」
傍に竹下官房長官がいるのもかまわずに、佐藤はそういった。
すでに臨時国会がはじまっている。沖縄返還協定の批准が目的である。そこでこの国会は『沖縄国会』と呼ばれている。
― 野党がどんな抵抗をしようと、批准は成立させなければならない。
当初から佐藤はかたく決意していた。と同時に
― 批准さえ成立すれば、あとは来年7月1日……予定を早めても6月なかば、現実に沖縄が返還されるまで政局はたいしたことはない。沖縄祖国復帰の記念行事を、自分は総理大臣として主宰する……。
そう決めこんでいるのだ。
― それを岸は、この沖縄国会を最後に引退せよなどと、けしからんことをいう。おれは来年の6、7月までは絶対にやめはしない。
佐藤は、むっとした表情のまま、立ち上がった。
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加えて、もうひとつの公電には―
「岸氏は日本人記者団と会見し “佐藤首相は沖縄返還協定批准のあと引退すべきである” と語った」と書かれていた。
これが佐藤の不興を爆発させたのであった。
「……おれの進退について、いかに兄貴とはいえ勝手なことをしゃべり散らされては、飛んだ迷惑だ」
傍に竹下官房長官がいるのもかまわずに、佐藤はそういった。
すでに臨時国会がはじまっている。沖縄返還協定の批准が目的である。そこでこの国会は『沖縄国会』と呼ばれている。
― 野党がどんな抵抗をしようと、批准は成立させなければならない。
当初から佐藤はかたく決意していた。と同時に
― 批准さえ成立すれば、あとは来年7月1日……予定を早めても6月なかば、現実に沖縄が返還されるまで政局はたいしたことはない。沖縄祖国復帰の記念行事を、自分は総理大臣として主宰する……。
そう決めこんでいるのだ。
― それを岸は、この沖縄国会を最後に引退せよなどと、けしからんことをいう。おれは来年の6、7月までは絶対にやめはしない。
佐藤は、むっとした表情のまま、立ち上がった。
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加えて、もうひとつの公電には―
「岸氏は日本人記者団と会見し “佐藤首相は沖縄返還協定批准のあと引退すべきである” と語った」と書かれていた。
これが佐藤の不興を爆発させたのであった。
「……おれの進退について、いかに兄貴とはいえ勝手なことをしゃべり散らされては、飛んだ迷惑だ」
傍に竹下官房長官がいるのもかまわずに、佐藤はそういった。
すでに臨時国会がはじまっている。沖縄返還協定の批准が目的である。そこでこの国会は『沖縄国会』と呼ばれている。
― 野党がどんな抵抗をしようと、批准は成立させなければならない。
当初から佐藤はかたく決意していた。と同時に
― 批准さえ成立すれば、あとは来年7月1日……予定を早めても6月なかば、現実に沖縄が返還されるまで政局はたいしたことはない。沖縄祖国復帰の記念行事を、自分は総理大臣として主宰する……。
そう決めこんでいるのだ。
― それを岸は、この沖縄国会を最後に引退せよなどと、けしからんことをいう。おれは来年の6、7月までは絶対にやめはしない。
佐藤は、むっとした表情のまま、立ち上がった。
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加えて、もうひとつの公電には―
「岸氏は日本人記者団と会見し “佐藤首相は沖縄返還協定批准のあと引退すべきである” と語った」と書かれていた。
これが佐藤の不興を爆発させたのであった。
「……おれの進退について、いかに兄貴とはいえ勝手なことをしゃべり散らされては、飛んだ迷惑だ」
傍に竹下官房長官がいるのもかまわずに、佐藤はそういった。
すでに臨時国会がはじまっている。沖縄返還協定の批准が目的である。そこでこの国会は『沖縄国会』と呼ばれている。
― 野党がどんな抵抗をしようと、批准は成立させなければならない。
当初から佐藤はかたく決意していた。と同時に
― 批准さえ成立すれば、あとは来年7月1日……予定を早めても6月なかば、現実に沖縄が返還されるまで政局はたいしたことはない。沖縄祖国復帰の記念行事を、自分は総理大臣として主宰する……。
そう決めこんでいるのだ。
― それを岸は、この沖縄国会を最後に引退せよなどと、けしからんことをいう。おれは来年の6、7月までは絶対にやめはしない。
佐藤は、むっとした表情のまま、立ち上がった。
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加えて、もうひとつの公電には―
「岸氏は日本人記者団と会見し “佐藤首相は沖縄返還協定批准のあと引退すべきである” と語った」と書かれていた。
これが佐藤の不興を爆発させたのであった。
「……おれの進退について、いかに兄貴とはいえ勝手なことをしゃべり散らされては、飛んだ迷惑だ」
傍に竹下官房長官がいるのもかまわずに、佐藤はそういった。
すでに臨時国会がはじまっている。沖縄返還協定の批准が目的である。そこでこの国会は『沖縄国会』と呼ばれている。
― 野党がどんな抵抗をしようと、批准は成立させなければならない。
当初から佐藤はかたく決意していた。と同時に
― 批准さえ成立すれば、あとは来年7月1日……予定を早めても6月なかば、現実に沖縄が返還されるまで政局はたいしたことはない。沖縄祖国復帰の記念行事を、自分は総理大臣として主宰する……。
そう決めこんでいるのだ。
― それを岸は、この沖縄国会を最後に引退せよなどと、けしからんことをいう。おれは来年の6、7月までは絶対にやめはしない。
佐藤は、むっとした表情のまま、立ち上がった。
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隣の院内閣議室では、閣僚たちが顔をそろえて待っていた。
この日の閣議の主題は、逆重要事項指定決議案が国連総会で、はたして多数をもって可決されるか、少数でもって否定されるか、それについて福田外相から見とおしの報告を訊くことであった。
竹下官房長官に指名されて、福田外相が感情の起伏をおもてに出さない淡々とした口調で説明をはじめた。
佐藤内閣としては、日米その他で共同提案した逆重要事項指定決議案を是が非でも成立にもちこもうと、国連代表としてニューヨークに行っている愛知揆一代表を補佐するため、福永健司代議士や、加瀬俊一元国連大使をあとから現地に送り込んでいる。
各国代表たちに
「逆重要に賛成を……」と、説得工作をくりひろげてきた。
そうした多数派工作の報告、また各国に駐在している大使からの報告などを、外務省は昨夜おそくまで整理し、分析して票を読んだ。
その結果を福田外相は
「……逆重要は僅少差ではありましょうが、勝てる、可決される……というのが、外務省の判断であります」と、報告した。
佐藤は大きくうなずいた。
― そうなくてはならない。あくまで台湾を擁護し国連にとどめておかなければならない……。
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隣の院内閣議室では、閣僚たちが顔をそろえて待っていた。
この日の閣議の主題は、逆重要事項指定決議案が国連総会で、はたして多数をもって可決されるか、少数でもって否定されるか、それについて福田外相から見とおしの報告を訊くことであった。
竹下官房長官に指名されて、福田外相が感情の起伏をおもてに出さない淡々とした口調で説明をはじめた。
佐藤内閣としては、日米その他で共同提案した逆重要事項指定決議案を是が非でも成立にもちこもうと、国連代表としてニューヨークに行っている愛知揆一代表を補佐するため、福永健司代議士や、加瀬俊一元国連大使をあとから現地に送り込んでいる。
各国代表たちに
「逆重要に賛成を……」と、説得工作をくりひろげてきた。
そうした多数派工作の報告、また各国に駐在している大使からの報告などを、外務省は昨夜おそくまで整理し、分析して票を読んだ。
その結果を福田外相は
「……逆重要は僅少差ではありましょうが、勝てる、可決される……というのが、外務省の判断であります」と、報告した。
佐藤は大きくうなずいた。
― そうなくてはならない。あくまで台湾を擁護し国連にとどめておかなければならない……。
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