000
白鳩の部屋(白・ω・鳩)-4
白鳩会
990
無理やった(白・ω・鳩)
991
隣の院内閣議室では、閣僚たちが顔をそろえて待っていた。
この日の閣議の主題は、逆重要事項指定決議案が国連総会で、はたして多数をもって可決されるか、少数でもって否定されるか、それについて福田外相から見とおしの報告を訊くことであった。
竹下官房長官に指名されて、福田外相が感情の起伏をおもてに出さない淡々とした口調で説明をはじめた。
佐藤内閣としては、日米その他で共同提案した逆重要事項指定決議案を是が非でも成立にもちこもうと、国連代表としてニューヨークに行っている愛知揆一代表を補佐するため、福永健司代議士や、加瀬俊一元国連大使をあとから現地に送り込んでいる。
各国代表たちに
「逆重要に賛成を……」と、説得工作をくりひろげてきた。
そうした多数派工作の報告、また各国に駐在している大使からの報告などを、外務省は昨夜おそくまで整理し、分析して票を読んだ。
その結果を福田外相は
「……逆重要は僅少差ではありましょうが、勝てる、可決される……というのが、外務省の判断であります」と、報告した。
佐藤は大きくうなずいた。
― そうなくてはならない。あくまで台湾を擁護し国連にとどめておかなければならない……。
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隣の院内閣議室では、閣僚たちが顔をそろえて待っていた。
この日の閣議の主題は、逆重要事項指定決議案が国連総会で、はたして多数をもって可決されるか、少数でもって否定されるか、それについて福田外相から見とおしの報告を訊くことであった。
竹下官房長官に指名されて、福田外相が感情の起伏をおもてに出さない淡々とした口調で説明をはじめた。
佐藤内閣としては、日米その他で共同提案した逆重要事項指定決議案を是が非でも成立にもちこもうと、国連代表としてニューヨークに行っている愛知揆一代表を補佐するため、福永健司代議士や、加瀬俊一元国連大使をあとから現地に送り込んでいる。
各国代表たちに
「逆重要に賛成を……」と、説得工作をくりひろげてきた。
そうした多数派工作の報告、また各国に駐在している大使からの報告などを、外務省は昨夜おそくまで整理し、分析して票を読んだ。
その結果を福田外相は
「……逆重要は僅少差ではありましょうが、勝てる、可決される……というのが、外務省の判断であります」と、報告した。
佐藤は大きくうなずいた。
― そうなくてはならない。あくまで台湾を擁護し国連にとどめておかなければならない……。
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隣の院内閣議室では、閣僚たちが顔をそろえて待っていた。
この日の閣議の主題は、逆重要事項指定決議案が国連総会で、はたして多数をもって可決されるか、少数でもって否定されるか、それについて福田外相から見とおしの報告を訊くことであった。
竹下官房長官に指名されて、福田外相が感情の起伏をおもてに出さない淡々とした口調で説明をはじめた。
佐藤内閣としては、日米その他で共同提案した逆重要事項指定決議案を是が非でも成立にもちこもうと、国連代表としてニューヨークに行っている愛知揆一代表を補佐するため、福永健司代議士や、加瀬俊一元国連大使をあとから現地に送り込んでいる。
各国代表たちに
「逆重要に賛成を……」と、説得工作をくりひろげてきた。
そうした多数派工作の報告、また各国に駐在している大使からの報告などを、外務省は昨夜おそくまで整理し、分析して票を読んだ。
その結果を福田外相は
「……逆重要は僅少差ではありましょうが、勝てる、可決される……というのが、外務省の判断であります」と、報告した。
佐藤は大きくうなずいた。
― そうなくてはならない。あくまで台湾を擁護し国連にとどめておかなければならない……。
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隣の院内閣議室では、閣僚たちが顔をそろえて待っていた。
この日の閣議の主題は、逆重要事項指定決議案が国連総会で、はたして多数をもって可決されるか、少数でもって否定されるか、それについて福田外相から見とおしの報告を訊くことであった。
竹下官房長官に指名されて、福田外相が感情の起伏をおもてに出さない淡々とした口調で説明をはじめた。
佐藤内閣としては、日米その他で共同提案した逆重要事項指定決議案を是が非でも成立にもちこもうと、国連代表としてニューヨークに行っている愛知揆一代表を補佐するため、福永健司代議士や、加瀬俊一元国連大使をあとから現地に送り込んでいる。
各国代表たちに
「逆重要に賛成を……」と、説得工作をくりひろげてきた。
そうした多数派工作の報告、また各国に駐在している大使からの報告などを、外務省は昨夜おそくまで整理し、分析して票を読んだ。
その結果を福田外相は
「……逆重要は僅少差ではありましょうが、勝てる、可決される……というのが、外務省の判断であります」と、報告した。
佐藤は大きくうなずいた。
― そうなくてはならない。あくまで台湾を擁護し国連にとどめておかなければならない……。
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隣の院内閣議室では、閣僚たちが顔をそろえて待っていた。
この日の閣議の主題は、逆重要事項指定決議案が国連総会で、はたして多数をもって可決されるか、少数でもって否定されるか、それについて福田外相から見とおしの報告を訊くことであった。
竹下官房長官に指名されて、福田外相が感情の起伏をおもてに出さない淡々とした口調で説明をはじめた。
佐藤内閣としては、日米その他で共同提案した逆重要事項指定決議案を是が非でも成立にもちこもうと、国連代表としてニューヨークに行っている愛知揆一代表を補佐するため、福永健司代議士や、加瀬俊一元国連大使をあとから現地に送り込んでいる。
各国代表たちに
「逆重要に賛成を……」と、説得工作をくりひろげてきた。
そうした多数派工作の報告、また各国に駐在している大使からの報告などを、外務省は昨夜おそくまで整理し、分析して票を読んだ。
その結果を福田外相は
「……逆重要は僅少差ではありましょうが、勝てる、可決される……というのが、外務省の判断であります」と、報告した。
佐藤は大きくうなずいた。
― そうなくてはならない。あくまで台湾を擁護し国連にとどめておかなければならない……。
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隣の院内閣議室では、閣僚たちが顔をそろえて待っていた。
この日の閣議の主題は、逆重要事項指定決議案が国連総会で、はたして多数をもって可決されるか、少数でもって否定されるか、それについて福田外相から見とおしの報告を訊くことであった。
竹下官房長官に指名されて、福田外相が感情の起伏をおもてに出さない淡々とした口調で説明をはじめた。
佐藤内閣としては、日米その他で共同提案した逆重要事項指定決議案を是が非でも成立にもちこもうと、国連代表としてニューヨークに行っている愛知揆一代表を補佐するため、福永健司代議士や、加瀬俊一元国連大使をあとから現地に送り込んでいる。
各国代表たちに
「逆重要に賛成を……」と、説得工作をくりひろげてきた。
そうした多数派工作の報告、また各国に駐在している大使からの報告などを、外務省は昨夜おそくまで整理し、分析して票を読んだ。
その結果を福田外相は
「……逆重要は僅少差ではありましょうが、勝てる、可決される……というのが、外務省の判断であります」と、報告した。
佐藤は大きくうなずいた。
― そうなくてはならない。あくまで台湾を擁護し国連にとどめておかなければならない……。
997
それでも佐藤は、福田に向かって念を押した。
「大丈夫だろうな。外務省の情報は甘い場合が多いぞ」
たしかに7月16日のニクソン訪中発表も、8月16日のドル・金の交換停止、輸入課徴金の発表も、ワシントンの日本大使館は事前にはその気配さえキャッチできなかったのだ。
― 大恥をかかされた。
と、佐藤は激怒した。9月上旬、東京にアジア・太平洋大使会議を召集したとき、佐藤は牛場信彦駐米大使を
「君たちはなにをしとるのか……。一かけらの情報も取れんのか……」
と、怒鳴りつけたほどだ。
米中接近についても、一か月ほど前に、岡田晃香港総領事から本省にあてて「あり得る」という情報が打電されてきていた。だが外務省幹部の多くが
「これまでの米中対決の経緯からして、そんなことはない」
と判断して無視し去ったのである。
そんな事実もあとから知らされているだけに、佐藤首相は、こんども外務省の票読みを危ぶんだのだ。しかし福田は
「信じていただいて、間違いありませんでしょう」
と答えた。外相としては、幹部の読みを信用するより他はないのだ。
998
それでも佐藤は、福田に向かって念を押した。
「大丈夫だろうな。外務省の情報は甘い場合が多いぞ」
たしかに7月16日のニクソン訪中発表も、8月16日のドル・金の交換停止、輸入課徴金の発表も、ワシントンの日本大使館は事前にはその気配さえキャッチできなかったのだ。
― 大恥をかかされた。
と、佐藤は激怒した。9月上旬、東京にアジア・太平洋大使会議を召集したとき、佐藤は牛場信彦駐米大使を
「君たちはなにをしとるのか……。一かけらの情報も取れんのか……」
と、怒鳴りつけたほどだ。
米中接近についても、一か月ほど前に、岡田晃香港総領事から本省にあてて「あり得る」という情報が打電されてきていた。だが外務省幹部の多くが
「これまでの米中対決の経緯からして、そんなことはない」
と判断して無視し去ったのである。
そんな事実もあとから知らされているだけに、佐藤首相は、こんども外務省の票読みを危ぶんだのだ。しかし福田は
「信じていただいて、間違いありませんでしょう」
と答えた。外相としては、幹部の読みを信用するより他はないのだ。
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それでも佐藤は、福田に向かって念を押した。
「大丈夫だろうな。外務省の情報は甘い場合が多いぞ」
たしかに7月16日のニクソン訪中発表も、8月16日のドル・金の交換停止、輸入課徴金の発表も、ワシントンの日本大使館は事前にはその気配さえキャッチできなかったのだ。
― 大恥をかかされた。
と、佐藤は激怒した。
9月上旬、東京にアジア・太平洋大使会議を召集したとき、佐藤は牛場信彦駐米大使を
「君たちはなにをしとるのか……。一かけらの情報も取れんのか……」
と、怒鳴りつけたほどだ。
米中接近についても、一か月ほど前に、岡田晃香港総領事から本省にあてて「あり得る」という情報が打電されてきていた。だが外務省幹部の多くが
「これまでの米中対決の経緯からして、そんなことはない」
と判断して無視し去ったのである。
そんな事実もあとから知らされているだけに、佐藤首相は、こんども外務省の票読みを危ぶんだのだ。しかし福田は
「信じていただいて、間違いありませんでしょう」
と答えた。外相としては、幹部の読みを信用するより他はないのだ。
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