２０日の阪神戦（東京Ｄ）に先発する巨人・菅野智之投手（２５）が１７日、完投での虎狩りを誓った。チームは１８日から本拠で首位阪神と３連戦で、そのうち２敗すれば自力Ｖ消滅の危機。前回登板は完封目前でまさかの逆転負けした右腕は「自分自身へリベンジしたい」と悪夢を振り払う。１８日の初戦はＭ・マイコラス投手（２６）が１０勝目をかけて、先陣をきる。
　リーグ４連覇へ、最初の関門がやってきた。Ｇ球場でキャッチボールなどで調整した菅野は阪神３連戦を前にチームの思いを代弁した。「２つ負けたら自力Ｖがなくなることはみんな知っています。意識しすぎるのも良くないけど、意識しないといけない。そのバランスを取りながら、戦っていきたいと思います」。首位・阪神と３・５差。簡単に混セの火を消すわけにはいかない。
　菅野は前回登板だった１３日のＤｅＮＡ戦（東京Ｄ）で完封目前の９回に筒香の逆転２ランなど３失点。まさかの黒星を喫した。「詰めが甘かったのは反省です。次も最後まで投げる気持ちでいく。自分自身にリベンジしたいと思います」と敗戦を力に変える。

　悔やんだのはバッテリー間の配球ではなく、自分の心理だった。菅野は筒香の本塁打を回想した。「カウントが２ボール１ストライク。僕の中で『ボールでもいいや』という中途半端な気持ちだった。勝負なら勝負をしないといけなかった」。悪いボールではなかったが、内角低めのカーブを被弾。カウントが悪くなれば四球で歩かせればいいという考えが招いた痛恨の一球だったことを明かした。
　今季は苦しい夏場から優勝争いをする９月にピークを合わせる調整をしている。ルーキーだった一昨年は前半戦に８勝も、球宴後は５勝と失速。昨年も８月に右手中指の故障で戦線を離脱と、夏場は鬼門だったからだ。菅野は「まだ１００％ではないですが９０％くらいのところまできている。調子は上がっていると思います」。
　ここからが本領を発揮の季節。打線は得点力不足を解消できないが、エースが奮投で、チームを逆転Ｖへリードしていく。

イマイチ

　巨人の菅野智之投手（２５）が２０日、母校・東海大相模の４５年ぶり２度目となる夏の甲子園優勝を祝福した。
　先発予定の阪神戦（東京Ｄ）の試合前練習を終え、ロッカーで優勝の瞬間を見届けると、広報を通じて喜びのコメントを発表した。
　「優勝候補と言われてプレッシャーを感じていたと思いますが、前評判通りの戦いぶりで優勝したことが本当に凄いことだと思います。優勝の瞬間はテレビで見ていました。後輩の活躍を今日の登板の刺激にして、先輩の意地を見せたい」
　神奈川大会から常に結果を気にして応援してきた後輩の偉業達成。藤浪晋太郎投手（２１）と投げ合う阪神戦を前に、決意を新たにした。

　弱い自分に勝った。自ら招いた悪夢を快投で払拭した。菅野はお立ち台で、珍しく感極まった。「前回本当に悔しい思いをして、絶対に最後まで投げるという強い気持ちがあった…はい…うれしいです」。言葉に詰まり涙をこらえた。苦悩が報われ、感情が爆発した。
　序盤から最速１５１キロの直球を軸に攻めた。６回まで福留のソロだけ。山場は７回２死三塁、打者・鶴岡。次は藤浪だが勝負を選択し、直球で詰まらせて二ゴロに抑えた。
　「前回（９回１死二塁から逆転２ランを浴びた）筒香との勝負で、歩かしでもいいやと、５０％くらいで勝負していた。だから、（鶴岡とは）１００％勝負。あそこが分岐点」
　８回２死二塁では福留を敬遠して４番ゴメスと勝負。「だいぶ外角を意識していると思った」と内角シュートで空振り三振。グラブを思い切りたたき、絶叫した。
　１３日のＤｅＮＡ戦以来、自問自答を繰り返した。防御率はほぼ同じマイコラスが１０勝３敗に対し、自身は８勝８敗の貯金０。「自分の甘さ、弱さがあった」。小林とも徹底的に意見をぶつけた。接戦の勝負どころで二度と失点しない。そう誓ったからこそ「自分にリベンジできた」と感極まった。

　弱い自分に勝った。自ら招いた悪夢を快投で払拭した。菅野はお立ち台で、珍しく感極まった。「前回本当に悔しい思いをして、絶対に最後まで投げるという強い気持ちがあった…はい…うれしいです」。言葉に詰まり涙をこらえた。苦悩が報われ、感情が爆発した。
　序盤から最速１５１キロの直球を軸に攻めた。６回まで福留のソロだけ。山場は７回２死三塁、打者・鶴岡。次は藤浪だが勝負を選択し、直球で詰まらせて二ゴロに抑えた。
　「前回（９回１死二塁から逆転２ランを浴びた）筒香との勝負で、歩かしでもいいやと、５０％くらいで勝負していた。だから、（鶴岡とは）１００％勝負。あそこが分岐点」
　８回２死二塁では福留を敬遠して４番ゴメスと勝負。「だいぶ外角を意識していると思った」と内角シュートで空振り三振。グラブを思い切りたたき、絶叫した。
　１３日のＤｅＮＡ戦以来、自問自答を繰り返した。防御率はほぼ同じマイコラスが１０勝３敗に対し、自身は８勝８敗の貯金０。「自分の甘さ、弱さがあった」。小林とも徹底的に意見をぶつけた。接戦の勝負どころで二度と失点しない。そう誓ったからこそ「自分にリベンジできた」と感極まった。

　試合前、母校・東海大相模が夏の甲子園で優勝。テレビで見届け「先輩の意地を見せたい」と刺激を受けた。高校時代は原点だ。「最初入った時、軟式出身が僕だけ。力の差、技術の差があまりにあって追いつけなかった」。広島・田中広輔ら同級生は硬式出身ばかり。強い反骨心が養われた。肩の故障、３年夏の県大会準優勝。あの時の挫折があって、今がある。だから、後輩の快進撃を「自分のことのようにうれしい」と力に変えた。
　東海大相模で培った土台に加え、今では球界屈指の投球術が光る。ここ数試合、菅野は相手の研究を上回るための策として、スライダーを何種類も投げ分ける。１３０キロ台前半、後半でそれぞれ縦と横、計４種類。「握りとか、腕の振りとかいろいろ変えて投げています」。打者を惑わせ、フルスイングを許さない。
　９回完投で藤浪との投手戦を制し９勝目。防御率１・８１、６完投はリーグトップだ。試合後は同級生の小林を絶賛し「苦しい時を２人で乗り越えて来た。どんどん強いバッテリーを目指したい」。エースの力投で、虎のしっぽが手の届くところまできた。

高校時代は甲子園出てないよね

ヒーローおめでと。
泣いてたね、インタビュー

　菅野が何かに気づき、ニヤニヤしていた。
　マツダスタジアムでの練習前。視線の先には、この日朝に両サイドを短く刈り上げ、モヒカンのような髪形にしてきた担当記者の姿が。「髪の毛、切りましたね〜」と近づき、思いついたかのように一言。「（オリックスの）ナカジ（中島）さんみたいですね」。瞬時に同じヘアスタイルの選手と重ね合わせ、鋭いツッコミを入れていた。